胚培養士の認定資格

先端医療である生殖補助医療の主役ともいえる胚培養士。
知識や技術を身につけるにはどうすれば良いのでしょうか。胚培養士資格の難易度はどのようなものなのでしょう?就職や転職時に資格の有無がどれほど影響するのでしょう?
胚培養士の資格の取得方法や難易度、資格取得の意義、就職や転職時の影響など胚培養士の資格取得の現状について詳しく解説します。
これから胚培養士の資格取得を目指す方のために役立つ情報をまとめています!
もくじ
胚培養士の認定資格は2つある!
胚培養士の資格は、日本卵子学会が認定する「生殖補助医療胚培養士」と、日本臨床エンブリオロジスト学会が認定する「認定臨床エンブリオロジスト」という学会認定の2つの認定資格があります。
日本の胚培養士のグループは大きくわけて2つあり、ひとつは哺乳動物の卵子を研究してきた研究者たちによって発足した日本卵子学会。もうひとつは産婦人科で胚培養を担当してきた臨床検査技士たちによって誕生した日本臨床エンブリオロジスト学会です。
現役で活躍する胚培養士の中には、両方の認定資格を取得している人もいれば、資格をもたない胚培養士もいます。
胚培養士の業界では、どちらの資格を取得しているかよりも、誰から技術を習い覚えたか、どれほどの実績や技能を携えているのかが重要視されるので、資格取得のタイミングや取得資格の選択については、職場や学校の指導者からアドバイスを得るなどして、情報を集めて検討することをおすすめします。
ちなみに、胚培養士の仕事は資格がなくても携われる!
少し前のデータですが、日本臨床エンブリオロジスト学会が2007年に同学会員に対して行ったアンケートに、認定臨床エンブリオロジスト資格取得者は46.6%、生殖補助医療胚培養士の資格取得者は40.2%という集計データがあります。認定資格取得者には、両方の資格を取得している胚培養士もいます。
一方、10年経過した今も、約3割の現役胚培養士が認定資格をもたずに業務に就いています。
資格をもたない理由のひとつは、業務が忙しく、資格取得のための学会参加や試験準備をする暇がないこと。また資格の必要性を感じないという理由で、ベテランといえる領域に達する胚培養士でも、資格を取得しない人もいます。
胚培養士の就職は、資格の有無よりも学術水準、経験値、実技スキルの適性やレベルが重要視されるため、資格未取得でも胚培養士業務を行うチャンスがあります。
これから胚培養士になりたい!という人や、胚培養士になったばかりで資格はこれから考えるという人は、日々スキルを研鑽しながら、積み重ねた経験や技術を形にするために資格取得をチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
臨床エンブリオロジスト認定資格の最新データ
平成30年度以降の管理胚培養士資格の新規申請者および更新申請者、胚培養士資格の更新申請者におかれましては、『少なくとも1回は本学会主催の「倫理」に該当する講習を受講していること』を、申請要件の一つとして付加しております。
その他の試験の詳細情報は、学会内発行の会報やサイト内会員専用のぺージで確認することができ、一般には公開されておりません。
生殖補助医療胚培養士の最新データ
試験概要
- 試験は年1回実施(毎年4月末頃実施)
- 試験の開催日・申請方法など試験要項の発表は前年の11月頃
- 申請方法:郵送申し込み
- 申込受付期間:1月中旬~1月末日
- 審査発表:5月下旬~6月初旬頃
- 審査受験料:30,000円
- 講習会費:30,000円(前年度に講習会受講済みの場合は不要)
平成30年の試験要項
講習会 | 平成30年4月21日 |
試験日 | 平成30年4月22日 |
試験 会場 |
TFTビル東館9階 |
試験 内容 |
書類審査・口述試験 |
申請 要件 |
▼次のすべてを満たしていること
|
申請 書類 |
|
※詳しくはこちら:http://jsmor.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=1172
胚培養士って国家資格はないの?
2018年現在、胚培養士の資格は国家資格ではありません。
だからといって2つある学会認定の胚培養士の資格価値が低いのかというとそうではなく、認定試験の募集要項からみてもわかるとおり、学術、技能いずれにおいても十分な経験を満たしている者にのみ受験資格が与えられ、認定されるということは、実績ある胚培養士を名乗るにふさわしいと認定された証でもあります。
胚培養士資格を国家資格にしようという動きはあります。
国家資格にすることによって、胚培養士の地位向上や医療点数の獲得、専門家としてのスキルの実証など、多くの恩恵が受けられます。
しかしながら、国家資格にするためには、受験資格の整備化や監視官庁の制定、法整備などさまざまなクリア要件があるため、まだしばらくは国家資格になることはないと考えられています。
まとめ
- 胚培養士の資格は学会認定の2つの資格がある
- 国家資格ではないが、認定要件は高難度!
- 胚培養士として身に着けた技能や知識の確認のために認定資格取得にチャレンジを
胚培養士の資格取得は、簡単ではありません。
学会への参加、講習会の参加、実務経験など求められる要件も高く、認定資格を取得するということは、自分の実績や高度な知識と技能を証明できることになりますね。
2つの認定試験の合格率はいずれも約8割です。資格取得のためには、資格勉強も去ることながら、積み上げた経験や学術向上のための活動が重要であることはいうまでもありません。
日々の業務の中で、常に技術力の向上や知識の研鑽が求められる胚培養士の仕事。資格取得は、胚培養士の業務で積んだ実績を証明し、専門性を極めるためにとても有効なチャンスとなります。